なぜ、生きる?

悩み、苦しみ、生きづらさを抱える皆さんと共に 移住や転職、不登校、大好きな本についても綴っていきます。日常のなかでのふとした学びや気付き、ココロの栄養のキッカケになれれば幸いです 

草刈り機 チョークの「開」と「閉」



若き同僚のS君はまだまだ見習いです。

そのため、朝会社に集合して、当日の準備に目処が立つと。

 

社長からよく「練習せい」と草刈り機やチェーンソーの始動の練習を命じられます。

 

でも、まだまだ上手くできない、おそらく、それらの機械を扱いはじめて

一ヶ月もたっていないので、仕方のない部分もあるのですが…

 

僕としては「まあ、イマドキの子だな」という感じ…

 

現場へ向う車の中で色々とそれらの機械について、講釈を垂れてしまいました。

 

「シュポシュポを何回か押して、チョークは「閉」にして、スロットルはすこし、

上げて…」なんて説明してもまったくといっていい程手応えがありません。

 

しまいには…

「チョークってなんですか?」

ときたもんだ…

 

ああ、この子は原理的な知識なり構造的な理解がないまま、

「訳も分からず、なんとなく、今の今までやっていたに過ぎないんだな」

と愕然としてしまった。

 

「チョークってのは英語で『しぼる』とか『しめる』っって言う意味だ、

つまり、最初は混合気を濃くしてエンジンがかかりやすいようする、

一度かかって、そのままにしたら、カブってしまうからチョークを戻して

アクセルを吹かす。」

 

と一編通りの事を説明した。言葉にしてしまえば一分足らずだが、その言葉の背景には

散々、エンジンと関わり、格闘してきた重みというか自負はある。

 

「とりあえず、運転してるのは俺だから、君は今のうちにそれらを調べろ」

とかなり強めの口調でいった。

 

車内の空気が段々重苦しくなっていく…10分後、

再び彼が口を開いた

「シリンダーやプラグってなんですか?調べれば調べる程、わからない事がでてきて増々混乱します…」

 

「分かった、じゃ現場に着いたら実地で教えるよ、スマホ上の二次元の薄っぺらな情報じゃなくて」

僕はなるべく明るい口調で返した。言葉の後半は実際にはいわなかったけど…

 

そして30分後、現場に到着。

にわかの講習会を始める。

「ここに図があるだろう、どっちが「開」でどっちが「閉」だ?

僕は機械に記された文字を隠して彼に尋ねた。

 

「そしてこれがプラグ、スパークリングプラグな、ここのスキマに火花が飛んで

混合気を爆発させるんだ」

 

プラグを外したのでついでにその穴を覗かせて、スターターレバーを何回か引張り

「これがシリンダー、中で上下しているのがピストン。爆発の力を円運動に変換してるんだ。」とかなりの時間をかけて説明した。

 

こんな事は中学の技術の時間で習うハズなのだが…今はその内容が変わっているのか

彼が中学時代2年間不登校だったからなのか、圧倒的に知識不足だ。

 

「とにかく、俺がいった通り納得がいったり、自分が気の済むまでやってみろ」

僕は根気強く彼が何かを掴むまで粘った。