ノラネコ、絶賛副業チャレンジ 「猫の手を貸し」て「借りてきた猫」になった(ホテルのレストラン)編その2
僕はドッキっとした、その何気ない一言が自分の素性を見抜かれている気がした。
日焼け止めなんて生まれてこの方塗った事がニャい。
「いやー実をいうと今まで肉体労働ばっかやってきて、今日も炎天下の下で草刈りしてたんですよー」
なんて、言えるはずもなく咄嗟に「最近スポーツにハマってまして…」なんて誤魔化しが口を出た。
とりあえず、服装は整えた。そして業務開始、まずは、トレーやマグカップの補充をする、洗い場からそれらを所定の位置にキレイに戻す。
照明も暗めでかなり、静かで落ち着いた雰囲気のレストランだ。
HONDAのエンジンのような高回転や忙しさとは無縁だが、
俺みたいな者がこんな場所で働いていいのか?みたいな罪悪感とも後悔ともつかない思いがよぎる。
でもこうなった以上しゃあない、応募してたのは向こうだし、こっちもお金が欲しかった。「猫の手でよければお貸ししますよ」つって今回こうなった。
そして、だんだんと空いた皿が出てきた。直接は洗い場に運びこまず、ステーションという場所にいったん下げる。ある程度溜まったら、持っていくというのが、ここでのやり方だ。
当然、テーブルに空いた皿があってもお客様に「お下げいたします。」なんてでっきこない、俺ごときがやっていいハズがない、でも手持ち無沙汰になるのはイヤだったから、そそくさと、ステーションに下げられたお皿をその都度運んでいたら、「もっと溜まってからでないと時間の無駄でしょ」なんて女性のマネージャーに注意された。
でもすっかり「借りてきた猫」状態の自分を察してくれたのか、もう一人のウェイトレスの女性がグラス類やシルバー磨きと補充の仕事を振ってくれた。
21時くらいになると除々に客足も途絶え、明朝のビュッフェの準備に入り始める、
後ろから声が飛んできた。「ノラネコさん、(その女性マネージャーだけが『タ◯ミ◯さん』でなく名前で呼んでくれた。)何もできなくても笑顔と挨拶だけはできるでしょ」と優しく且つ毅然と諭された。
うーん流石です。参りました。
明朝の用意は一段落したので、残りの約30分は裏に回ってひたすらナプキンを折った。そして就労終了、帰りはそのマネージャーが案内してくれた。「明日の夕方も入ってるんでしょ、 宴会だから着替え終わったら3Fに来てね、今日どうだった?」なんて声をかけてくれた。
僕もある程度、正直に「うーん緊張しましたね。」と白状した。
とにかく、今日の業務は終わった。
本業の方でも最近、社長に「お前は顔が暗い」と何かと言われているし、少し前、娘にも似たような事をいわれていた(今はケンカ中で口をきいてくれないが)。
僕にとって「笑顔」が最近の修行テーマなのかニャ