なぜ、生きる?

悩み、苦しみ、生きづらさを抱える皆さんと共に 移住や転職、不登校、大好きな本についても綴っていきます。日常のなかでのふとした学びや気付き、ココロの栄養のキッカケになれれば幸いです 

ノラネコ、絶賛副業チャレンジ 「猫の手を貸し」て「借りてきた猫」になった(ホテルのレストラン)編その1

社長が急に「午後からは小矢部(注 富山県のかなり西部)の草刈りにいくぞ」と言い出し、僕は焦った。
18時からは副業の予定だ。しかも、ガテン系ではない。ホテルのレストランでのホール補助、バッシングの業務だ。

 今日は予定からすれば、午後はかなり時間が空く。そう踏んでチョット自分にとっては難易度の高い副業の予定を入れていた。

 この猛暑日の下、屋外で作業した後で素知らぬ顔で臨まねばならない。それには相応の準備と時間が要る。

 

社長にそれとなく、副業の件を伝えなんとか帰りは高速を使って早目に戻れた。僕の中で育ち始めている「なるようにしかならん」の成長も感じられた。

 

16時前に会社を後にして銭湯の暖簾をくぐる。ここで色々なものを洗い流して(汗臭さや疲れ、精神的なこわばりetc...)、自分を整えないと…

 

時間はそこそこあった。髭をそり、爪を切り、サウナ&水風呂もワンセット。

精神もそれなりにほぐす事ができた。体と頭を最終的に洗って風呂場を後にする。

 ちょー久しぶりに使う整髪料を髪に塗りたくり、十円玉を2枚投じて頭髪をドライヤーでセット。

この日のためにカットにも行ってきたし(格安だけど)、タンスの奥から引っ張り出してきた、黒のスラックスを穿きハンカチとティッシュを左ポケットに突っこむ。

 

下準備は完了、後はなるべく近くにある廉価なコインパーキングを探せるよう早目に出発した。クーラーをガンガンかけて。

 

今回の就労先であるホテルは駅前の一等地にある。おまけに世界的に有名なブランドとも提携している。

「半年以上の経験者限定」とあったが、米軍基地のnco clubでの経験もあるし、応募して審査を経てお断りされてない以上「まあ、なんとかなるだろう」と踏んでいた。

散々肉体労働ばっかやってきた自分に務まるだろうかという一抹の不安も緊張も確かにあった。

初めての就労場所だし、でもこっちも背に腹は代えられないという思いもある。

緊張しているのは向こうも多分同じ、「どんなヤツがくるのか?」

こういう運びになった以上お互いにとって「より有意義な時間にするために最善を尽くそう」そんな心持ちになった。

それこそ「なるようにしかならん」だ。

 

そこそこ近いコインパーキングに車を停めて、鍵をロックしてからYシャツを着る。

 

けっこう有名なブランドなのに、なんでこんなサイトで働く人間を募集してるのか…

と訝しい思いもあるが、僕は知っている。

 海外の高級なホテルでも貴重品は決して部屋に置きっぱなしにしてはならない。

客室清掃やベッドメイキング、ダイニングの洗い場を担当しているのは、結局社会の下層の人々だ。その事をこの国でも実践しようとしているのか…

 

サイトにあった通りに警備の受付で手続きを済ます。初めてだったから、そう正直に告げ、案内を頼んだ。

エレベーターホールの前で大人しく待つ。プロパーの方と思われる緑色の制服に身を包んだ女性が降りてきた。こういう場に相応しい容貌をしている、メイクもバッチリだ。

促されるまま、コントロールセンターに入室しロッカーの鍵を受け取る。その後2階に移動する。QRコードの読み込みもなんとか済ませ、

前掛け、いや「エプロン」を着用しようとするも、ウエストがなかなか合わない。なんとか工夫をこらして完了した時、彼女は何気なく言った。

 

「随分日焼けしてますね!?」。

 

続く