なぜ、生きる?

悩み、苦しみ、生きづらさを抱える皆さんと共に 移住や転職、不登校、大好きな本についても綴っていきます。日常のなかでのふとした学びや気付き、ココロの栄養のキッカケになれれば幸いです 

52才妻子持ち、転職☓☓回、未だに無職… どうする、俺? #14 ー元すかいらーくー

 


再び富山へ、現実の修行の場へ舞い戻る前に

最後にどうしても逢いたい人の元に還る。

 

「遅かったじゃない、今の今までどこで何してたのよ」

 

「久しぶりに会って、話が盛り上がっちゃって、予期せぬ再会もあって

とにかく、色々な事があって。胸と頭が一杯なんだ」

そう正直に言った。

 

「頭がガンガンして酔ってるみたいなんだ、

あ、酒は飲んでないよ」

ハッーと息を母に吹きかける

「うん、飲んでない。」

 

僕はその再会によって自分に様々なモノがもたらされた事

どうしてもそれらをちゃんと掴んで文字として紙の上に落とさずには

済まなかった自分の心境を長々と伝えた。

 

時間は一時間程遡る

 

ちゃんと記録するために僕が選んだ場所は実家から2キロ程離れた「ガスト」

実は学生時代そこで少しだけバイトしていた事があった。

 

そして書き置きだけ残して辞めるという、たいして今と変わらない

失態もやらかした場所。

ある意味では自分の精神に何が訪れるかという

好奇心と身勝手な贖罪の気持ちが入り混じってその場所を選んだ。

 

店内はかなり混んでいた。外国人とおぼしき客も何人か、

僕は日記にしているノートを開き、必死で記憶をたどり、

文字に変換して続ける。

その最中、僕の目を奪ったのは…

え、これが配膳ロボット?

 

うっすらとはその存在をラジオ等で聞いていた

しかし、実際に目の当たりにしてみると…

僕は驚きを隠せなかった

「ああ、この国もここまできてしまったのか…」思わずカメラを向けた。

 

母はおにぎりを作ってくれていた。

具が入っていないシンプルな塩おにぎりに

軽く炙った海苔で包んだもの。

ものごころがついて以来、舌が覚えている

母の味、いや今の弱りきった自分にとっては「神」だ。

 

「昨晩、乾杯した時の約束覚えてる?」

母が尋ねてきた。

「ウン、覚えてるよ、また一年くらいしたら

帰ってくる、ちゃんと仕事も見つけて、元気になってから」

 

車に荷物を積み込み、旅支度を終え、母と向き合う

いよいよ、お別れだ。これが最後になる可能性も0じゃない。

 

車に乗り込む、エンジンを掛け、シートベルトを締め窓を開ける。

 

「それじゃ、行ってきます」

「いってらしゃい」

最後の最後まで母は見送ってくれる。

僕もそれに応えるよう手を振る。

 

線路沿いの付きあたりT字路を左折し、母の姿は

見えなくなる。

多くの滋養を今回の帰省でも授けてもらった。

 

まだ、明確な方針は見えてないけど、

それでも一週間前の精神状態よりは全然、マシになったな感覚がある。