なぜ、生きる?

悩み、苦しみ、生きづらさを抱える皆さんと共に 移住や転職、不登校、大好きな本についても綴っていきます。日常のなかでのふとした学びや気付き、ココロの栄養のキッカケになれれば幸いです 

52才妻子持ち、転職☓☓回、未だに無職… どうする、俺? #8 ーただいまー

やっと車が一台止められるだけのエクステリア

申し訳程度に植えられている植栽をそっと横目

に見て、アルミ製の門扉をそっと、押す

「キィ」という軽い金属音も昔のままだ

 

 

電話やメールではやりとりしてたけど、

直接会うのは3年ぶりだ、ドアの前に立つ。

 

「ただいま」

 

「息子ぉ〜、おかえり」

母とその息子の遠慮のないハグ

時間が一瞬でとめどなく巻き戻る…

 

「お母さん、年取ったな〜」

「この年でまた甘えるなんて情けないなー」

「あと、何回、お互い生きて会えるのかな?」

 

なんて、複雑な思いや、感情のさざ波が胸を

去来する。

 

まずは、奥の和室にある仏壇へ向かう

遥か彼方から自分を見守る

温かい視線を微かに感じる。

 

今は亡き父の仏前に挨拶、そして報告

「お久しぶりです。無事、付きました。

しばらくお世話になります。」

 

母は、いそいそとお茶を淹れ、

寝床の準備をしてくれた。

 

老体にも関わらず、力を振り絞るかのように家事

をする母を見て

「何か、手伝わなくてもいいのか?」

という自責の念にかられるも

 

母はどこかイキイキとしてるように見えた。

そして僕も存分に甘える事を自分にを許した。

 

夕食を取ることを兼ねて駅前の日帰り湯に

二人して歩いて行った。

 

途中、中学の同級生が働くカイロプラクティック

の店舗を横切る

 

自分が年をとっても、移住しても変わらずに

「そこにあり続けている存在」はどこか有り難い。

 

駅前の5階建てのビルの最上階にある日帰り湯は

登山やハイキング帰りの客でごった返していた。

 

東京の外れとはいえ人の密度、スペースが富山とは

全然違うことを実感。

 

一時間ほど、湯に浸かり、併設された食堂前のベンチで

待ち合わせる。

 

案内されたのは窓際の特等席、かなり、夕陽が落ちかけ

薄暗くなった中、仄かに街頭で照らし出された

駅舎や円環状の立体歩道がよく見える。

 

つまみを2、3品頼み、まずは、生ビールで乾杯

しばらく、近況などを詳しく説明した後、

 

母から、思いもよらない事を聞いた。